江戸風流　春蝶亭雑記

楽人控室

【楽人控室】
気に入っている音楽について、まとめたページ。
音楽との出会いや交流の記録。
思いつくまま書くので、順不同。

20代はずっと聴いていた音楽が、いつのまにか身の回りから消え去っていた。もうそんなもの必要が無いくらい、何かに追われるように毎日過ごしていた。今考えると、何か思い上がっていただけなのかもしれない。自分が中心で全てが回っていて、自分がすべて動かせるものだと信じていた。
だけどふと気が付くと、とんでもない袋小路に追い込まれていた。抜け出せなくて苦しくてたまらなくて、もうどうしようもなくて。自分がいなくても世の中はまわっていくし、もう自分の存在理由なんてどこにも無いような気がしていた。

そんな2004年9月。
私の動かない日常を、音楽が鮮やかに切り裂いていった。

そう、私の欲しいものは存在の証明であり、消し去りたいのはくだならい超幻想だ。全身全霊をかけて起死回生したいのだ。
小さくて華奢な冴えない青年の声が、言葉が、痛いほど打ちのめした。でもそこから、新たな力が自分の中に生まれてくるのも感じた。
あの日以来、音楽は再び私の生活の中に帰ってきた。

いつも「心の楽屋」に、音楽にいてもらうことにした。だから嬉しかったり、悲しかったり、つらかったりすると、必ず心の中で歌う。